「レスター、お話完結したよ!はい、これお祝いのケーキ!」
「…………(無言でケーキを分解する)」
「も、もしかしてまだ疑ってるの……?もうへんなものなんて入れてないもん!」
「エリス、天使の落下番外編『あしたになったら3』UPしたぞ。レスターのおはなしだぞ!」
「ニコもでる?」
「おれはおやつのじかんだから、出てないぞ!」
「レスター、お肉も食べなきゃおおきくなれないぞ」
「……」
「おれにくれたって、おれこれ以上おおきくなれないぞ」
※レスターはあんまりお肉すきじゃないのです。
「番外編あっぷしたぞ!みてくれたらうれしいぞ!」
「ニコ、昼飯」
「うわぁ!おれのすきなオムレツだ!レスターありがとう!」
「別にお前のために決めたメニューじゃない」
「うん、おれちゃんとわかってるからな」
「……そのニコニコ顔をやめろ」
「ヘルムートさま、明日リクエスト番外編がUPされるみたいです」
「え、あー、そうなんだ。エリスは見ないでね」
「え?みたいです……」
「だめ。ぜったいだめ」
がーん、エリスはショックを受けてプルプル震えた。
「エリスー、ブラッシングして」
「いいよ。わぁ、ニコの毛ふかふかー」
「出番来たからな、身ぎれいにして出るぞ!」
「ニコ、今日のあさごはんはなに食べたの?」
「パンケーキ! レスターがはちみつたっぷりかけてくれたぞ」
「レスター甘党だもんね」
「レスター、今年もりんごたくさんとれたな。おれりんご好き」
「お前は好きなものだらけだな」
「うん。でもな、好きにも『ただの好き』と『大好き』があるんだ。レスターのつくるりんごジャムは『さいこうに大好き』」
「……」
「わぁ!エリスの作ってくれたアップルパイ、おいしそうだな」
「ニコ、切り分けるから皿」
「あれ、レスター大きさ違うぞ」
「手元が狂った」
「え?大きい方食べていいのか?うわーい!」
「……」
「なにやってんだ、お前」
「雨だから、むかえにきた」
「アホ、人に見つかったら見世物小屋行きになるぞ」
「だいじょうぶ、おれ人間のふりとくいだぞ。フード付きのレインコートもきてるし、ばれてないぞ」
「手をかくしてから言え」
「ピンクのひふダメか?」
「…皮膚?」
「ひふだぞ」
ニコは自分の手を見た。
ふかふかのピンクの手。
人間みたいに指がないからちょっと不自由だけど、良いこともある。
「レスター、手つなごう」
「いやだ」
「おれさむいから、つないでほしい」
「……」
そうしたら、レスターの冷たい手を温めることができるから。
「ところでエリスは何が一番すき?」
「へ……ヘルムートさまです……」
「え」
「え?」
「お菓子では何が一番すき?って訊いたんだけど」
「えっ」
「きみはよほど僕がすきなんだねぇ……ってそんな顔して頷かれると、理性が飛ぶんだけど」
「ヘルムートさまは、あの、何がいちばんすきですか……?」
「マフィンがすきだよ」
「……」
「しょんぼりしない。きみが一番すきに決まってるだろ」
「レスター!きょう何の日か知ってるか?」
「知らね。出かけてくるから留守番してろ」
「えっ、でかけるのか…?」
ニコは一人しょんぼり絵本を読んだ。
一時間後。
「レスターおかえり!あのな、きょうはおれの……」
レスターは無言でニコに新しい絵本と誕生日ケーキを渡した。
「ジーナ、あした視察に着いて来てくれ」
「いいよー」
「午後のお茶も一緒に飲んでくれ」
「いいよー」
「結婚してくれ」
「いいy……よくないよ!なにベタな手使ってるの!」
「ちっ」
おわり